とある無職の世界一周

世界一周のこととか。

やらなくてはいけない時がある。

ウクライナ*リヴィウ       晴天。


どんなに目を背けても"それ"は確実に"ここ"に存在していて、
鼻が、肌が、感じ取ってしまう。


誰が見ても快晴としか言うことのできない空を、ウクライナの安宿から見上げる。
まだ寝ぼけてる目に突き刺さる太陽の光。
僕はため息を一つこぼした。
天候さえも"それ"の存在を許していない様に思えたのだ。
窓の隙間風が心地よさと、暖かさを運んで来た。
だが、そんな春の風さえも僕の気を重くする。
思いと気分は一方通行ではない。


僕は掃除の行き届いた綺麗な洗面台の蛇口を捻った。
右に3回捻り、水の勢いが確かなものだということがわかると
次は左に3回捻り水を止めた。
鏡に写った自身の表情が"それ"をすることを拒絶してることは明白だった。
僕はもう一度ため息をこぼした。
深々と息を出し続け、頭の中にあった靄(もや)を酸素や二酸化炭素、窒素、その他の名前も知らん空気と共に追い出し"それ"を乱暴に手に取った。


蛇口を素早く捻ると同時に水が流れ出て、
僕はただ我武者らに"それ"を水の中で力いっぱい握りしめた。
"それ"は何の抵抗もせずに水分を含み、僕が手を離せば蛇口から噴き出す水に頭を下げる。
その光景は何処か滝に打たれる修行僧を連想させた。


ひとしきり水に浸した"それ"は微かに本来の姿に近づいていた。


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洗濯です。


服から剣道部の匂いがしたので洗濯しました。
汗と青春の青臭い匂い。
洗濯ほんとめんどくさいです。


全てのお母さんはすごいと思います。
毎日洗ってますからね。洗濯物しかり食器しかり。
お母さんに洗い流せないものはないのかもしれません。
まるで全ての罪を洗い流す聖なる川、ガンジス川の如く。
お母さんはガンガーなのです。


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今日はあまりにも暇だったので街をふらふらしてきました。
よくわかんないんですけど
すごい由緒と歴史ある建物ぽいやつが結構あります。

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これとか。

これの近くにベンチがあったのでそこに座り
"よし。この建物が出来た経緯を勝手に想像しよう。"ってなりました。
これは僕がよくする非常につまらない遊びなんですけど
つまんないのにやめれません。
どうしよう。


するとウクライナ人の女の人に話かけられました。
僕が言うのもあれなんですけど、
だらしない格好をした女の人です。
茶色のブカブカしたパンツに、Tシャツ、キャップのつばをエマニエル坊やなんて目じゃない勢いで斜めに被った金髪の女の人。


ウクライナ語で何かを僕に言ってます。
何一つとして理解できなんだんですけど、その女の人が少しクレイジーなのだけはわかりました。
周りにいたウクライナ人がそっと離れていくのが凄い視野に入ったので。


僕も無視して立ち上がった瞬間。

その女の人は突如自分のTシャツをまくりあげました。


"え?"


めっちゃモロで胸部出してんですけど。
なんならノーブラなんですけど。
僕と胸部までの距離間1ヤードぐらいなんですけど。


くそ意味不明だったので苦笑いしそうになりました。
しかし、この場には凄いたくさんの人が居て、その女の人の奇行を見ているわけです。
その目撃者達からすれば、女性の胸部を至近距離でニヤける男は十中八九ものほん変態なので
僕は必死で無表情を演技しながら
とりあえず 

" とととととりあえず着てください "
って日本語で言いました。
くっそ焦ってました僕。


僕の説得も虚しく彼女はあられもなく丸出しで
違う人に話しかけ始めて、最終的に追い出されてました。


"始めて見た白人の胸部がまさかこんな形になるとは…"
とか
"公衆の面前だった…"
とか、様々な事を思うんですけど


"世界には色んな人が居る"
僕はこの一言で今日の出来事を片付けました。